アンケートの自由記述はどうまとめる?
アンケートの自由記述を受け取り、「会議で説明できるようにまとめてほしい」と頼まれていませんか。自由記述は、原文を残したまま意見を分け、似た内容を分類し、件数と代表例を並べて報告するのが基本です。
必要なのは、回答を短い一文へ押し込むことだけではありません。件数が何を表すか、元の回答には何が書かれていたかを、報告を読む人が確かめられる形にします。この記事では、同じ架空の回答を使って整理の手順を追います。表計算ソフトで進められるため、専用の分析ツールは必要ありません。
- 原文と回答IDを残し、一つの回答に含まれる意見を分ける
- 分類の基準をそろえ、何を数えた件数か明記する
- 代表的な原文と少数の意見を添えて報告する
原文と回答IDを残して一覧を作る
最初に、元の回答を保存し、整理用の表を別に作ります。原文を書き換えてしまうと、回答者が使った言葉や細かな意味を後から確認できません。
表には回答IDを付け、質問文、調査対象、実施期間、回答数も残します。今回は「業務ツールを使っていて、困る点や便利な点があれば教えてください」という設問を用意しました。以下の6件はすべて説明用の架空例で、実在する顧客の発言や調査結果ではありません。
| 回答ID | 自由記述の原文 |
|---|---|
| R1 | 検索しづらいが通知は便利 |
| R2 | 検索結果が探しにくい |
| R3 | スマホでは文字が小さい |
| R4 | 通知が多い |
| R5 | 特になし |
| R6 | (空欄) |
この例では、アンケート回答6件のうち、具体的な意見があるのは4件です。「特になし」と空欄を、同じ意味の回答として一つにしません。空欄の理由は分からず、「不満がない」とも判断できないためです。
社内で共有する表では、氏名や連絡先など、報告に不要な情報を伏せます。元データを閲覧できる担当者は誰でしょうか。社内の管理ルールに沿って担当者を決め、回答IDで元データと照合できるようにします。
一つの回答に含まれる意見を分ける
R1には、検索に対する困りごとと、通知への肯定という二つの意見があります。一つだけを残しては、回答の内容を正確に伝えられません。整理用の表では別の行に分け、どちらにも元の回答IDを付けます。
| 意見ID | 元の回答ID | 分けた意見 | 仮の分類 |
|---|---|---|---|
| R1-a | R1 | 検索しづらい | 検索の困りごと |
| R1-b | R1 | 通知は便利 | 通知への肯定 |
| R2-a | R2 | 検索結果が探しにくい | 検索の困りごと |
| R3-a | R3 | スマホでは文字が小さい | 文字の見づらさ |
| R4-a | R4 | 通知が多い | 通知の多さ |
上の表では、4回答を5件の意見に分けました。行が増えたからといって、回答者が増えたことにはなりません。
分割するときは、文脈を変えないことも必要です。「通知は便利だと思わない」を「通知は便利」と切り出したり、条件付きの意見から条件を落としたりしないよう、原文と照合します。「通知が多い」から「通知をなくしてほしい」と要望を補うこともしません。

分類名と、入れる意見の基準をそろえる
回答全体を読んでから、似た内容をまとめる分類を作ります。調査会社マクロミルは、自由記述の集計方法として、一覧表を作り、類似した回答をまとめて集計する方法を説明しています。
分類名を見ただけで、別の担当者も同じ判断ができるでしょうか。「検索の困りごと」なら「検索する操作や検索結果の探しにくさに関する意見」のように、入れる内容を短く書き添えます。通知への肯定と通知の多さを分ければ、同じ機能への異なる反応を混同せずに済みます。
一方、「スマホでは文字が小さい」を「使いにくい」にまとめるだけでは、どこを確かめるべきか分かりません。分類は、報告の後に具体的な確認ができる細かさにします。
迷った意見を無理に既存の分類へ入れる必要はありません。いったん「要確認」に置き、原文を読み直します。分類の範囲を変えた場合は、それまでに振り分けた意見も同じ基準で見直してください。複数人で作業するなら、最初に同じ回答を分類し、判断が分かれた箇所を話し合っておくと基準をそろえられます。
件数は、何を数えたかと一緒に示す
件数を示す前に、意見の数を数えるのか、その内容に言及した回答の数を数えるのか決めます。この記事では、報告表の件数を「各分類に言及した回答数」にそろえます。同じ回答に同じ分類の意見が二つあっても、その分類では1回答と数えるルールです。
集計用の表では、回答IDと分類名の組み合わせを確認します。同じ組み合わせが複数あれば、報告用の集計では一つとして扱います。分割した行を単純に数えると、回答数ではなく意見数になることがあるので注意が必要です。
| 分類 | 該当する回答ID | 該当回答数 |
|---|---|---|
| 検索の困りごと | R1、R2 | 2 |
| 通知への肯定 | R1 | 1 |
| 文字の見づらさ | R3 | 1 |
| 通知の多さ | R4 | 1 |
R1が二つの分類に入るため、分類別の件数を足すと5になります。これは、具体的な意見がある4回答と矛盾しません。表の下に「一つの回答を複数の分類に含めています」と添えると、読み手が数え方を理解できます。
割合を使うなら分母も明記します。この例の「検索の困りごと」は、アンケート回答6件を分母にすると2件/6件、具体的な意見のある4回答を分母にすると2件/4件です。分母を途中で変えず、どちらを使ったか表題や注記に残します。この割合を、そのまま顧客全体が困っている割合とは呼びません。
代表的な意見と少数の意見を添えて報告する
報告には、調査対象と期間、集計した回答数、分類ごとの件数、代表的な原文、次に確かめることを並べます。架空例なら「検索の困りごとは2回答。『検索しづらいが通知は便利』などの記述があった。どの検索操作で迷うかは未確認」のようにまとめられます。
原文の引用が、都合のよい部分だけになっていないでしょうか。短くする場合も、前後の意味を変えず、元の回答IDを添えておきます。
件数の少ない意見を、数だけで報告から外してはいけません。たとえば業務が止まるという記述なら、少数でも影響を確認する必要があります。件数は改善を考える材料の一つで、開発の順番を自動的に決めるものではありません。
報告で確認した困りごとを継続して扱う手順は、機能要望管理の基本で説明しています。担当者が変わっても意味を確かめられるよう、元の回答との対応は消しません。
よくある質問
どの分類にも入らない回答はどうしますか?
原文を残して要確認に置きます。同じ内容がほかにもあるか確かめ、必要なら分類を追加します。意味が読み取れない回答は、書かれていない背景を推測して分類せず、その状態を記録します。
回答が多いときはAIでまとめてもよいですか?
社内のデータ利用ルールを確認したうえで、分類案づくりなどに使う方法はあります。ただし、原文の意味が変わっていないか、回答が抜けていないか、件数が合うかは人が照合します。AIを使わなくても、一覧・分類・集計を分けて整理できます。
まとめ
自由記述は、原文と回答IDを残し、意見を分け、分類の基準と数え方をそろえてまとめます。件数に代表例と少数の意見を添えると、次に何を確認すべきかも伝えられます。
自動化を検討する段階では、機能要望をAIで分類する方法が分類基準や確認方法の参考になります。