RICEの確信度はどう決める?
目次
RICEのConfidenceを決めるとき、「担当者が自信を持っているから80%」では、チームで採点をそろえられません。確認したいのは提案への熱意ではなく、対象数・影響度・工数の見積もりを何が支えているかです。
確信度は、根拠の薄い見積もりをそのまま順位へ反映させないために使います。この記事では、原典の尺度を確認したうえで、チームで使う判断基準と記録例を紹介します。以下の施策、数値、記録は説明用の架空例で、アーコレや株式会社Covvyの実績ではありません。
- 100%・80%・50%は推定への確信度の尺度で、成功確率ではない
- Reach・Impact・Effortの根拠と未確認事項を分けて確認する
- 点数を上げるためでなく、次に何を調べるかを決めるために使う
優先順位を決める全体の流れは、開発する機能の優先順位を決める方法で確認できます。
原典の確信度は3段階が目安
Confidenceを100%=高、80%=中、50%=低とするのが、原典の目安です。顧客対応ソフトウェア企業Intercomの説明では、50%未満はさらに不確かな案として扱われています。根拠が十分かを段階的に評価するための尺度であり、統計的に測定した成功確率ではありません。
たとえば80%は「10回試すと8回成功する」という意味ではありません。100%にしても成果を保証することにはならず、対象や仕様が変われば再評価が必要です。
計算式は Reach × Impact × Confidence ÷ Effort です。Confidenceが80%なら0.8を掛けます。対象40社、Impactが1、工数1人月なら32点です。同じ条件で50%に下げると20点になり、根拠の弱さが順位に反映されます。
対象数・影響度・工数の根拠を分ける
最初から「何%にするか」を話すより、3つの見積もりを順に確認します。次の表は、月次集計の改善を考える場合の確認項目です。
| 見積もり | 確認する根拠 | 残りやすい不確かさ |
|---|---|---|
| Reach | 対象期間・対象業務をそろえた利用記録 | 要望を出した社数と利用する社数が違う |
| Impact | 顧客の作業観察、インタビュー、検証結果 | 課題はあっても、提案した方法で解決するか不明 |
| Effort | 開発・設計・テストを含む見積もり | 権限、移行、外部連携の調査が未完了 |
利用記録があっても、対象外の顧客まで含むならReachの根拠には使えません。インタビューで困り事を聞けても、提案した機能の効果まで確認できたとは限りません。何を確認できた資料なのかを短く添えてください。
工数も同様です。実装部分だけの見積もりを、リリースに必要な総工数と取り違えないようにします。「設計は確認済み、既存データの移行は未確認」のように、残る不確かさが分かる記録にします。

チーム用の基準を短い文章で決める
次は、本記事で提案する運用例です。Intercomが指定した必須条件ではありません。対象数の計測方法や開発の進め方に合わせて、チームで調整してください。
| 確信度 | チーム用の判断基準の例 |
|---|---|
| 100% | 対象数・影響・工数それぞれの根拠を確認でき、順位を大きく変えそうな未確認事項が残っていない |
| 80% | 主な根拠はあるが、一部に仮定が残る。何が未確認かと、影響する範囲を説明できる |
| 50% | 対象数、効果、工数の重要な前提に不確かさがある。追加確認によって見積もりが大きく変わりうる |
| いったん未評価 | 比較に必要な情報が足りず、仮の数値にも根拠を示せない |
上の表は運用を始めるための例です。50%未満も使うなら、その意味と扱いを決めます。情報が足りない案を一律に0%へ落とすと、「分からない」と「効果を見込まない」が混ざるので避けます。
「インタビューが5件あるから80%」という件数だけのルールも慎重に扱ってください。対象顧客との一致、発言の具体性、反対の証拠によって、同じ5件でも根拠の強さは変わります。これは統計的な標本数の基準を示す表ではありません。
1つの施策を採点する記録例
「集計条件の保存」を検討する架空のチームを考えます。Reachは次の四半期に使う40社、Impactは1、工数は1人月と仮定します。
- 対象数:過去の利用記録から対象業務を使う40社を抽出。今後も同じ利用が続くと仮定
- 影響度:条件を毎回入力する手間を確認。ただし、保存して再利用する頻度は未確認
- 工数:設計・実装・テストを含めて1人月。権限の追加は不要という前提
- 確信度:80%。主な不足は再利用の頻度
- 次の確認:PMが対象顧客の操作を確認し、次回の評価会議で見直す
80%とした理由は、顧客の困り事だけでなく、どの仮定が残っているかを説明できることです。ただし、この記録なら必ず80%になるという正解はありません。再利用の頻度が成果を左右する重大な前提なら、50%とする判断もあります。
その場合は、80%と50%の間を取って65%にするより、意見が分かれた前提を確かめます。重要な前提かどうかを話さずに平均すると、不確かさの所在が記録から消えてしまいます。
確信度を変えたときの順位を試す
前の例のスコアは80%で32、50%で20です。別の候補「入力漏れの通知」が 20社×2×0.8÷1.5人月=約21.3 なら、保存の確信度を見直すだけで順位が逆転します。この差は、保存の効果を確かめる価値があることを示します。
ただし、追加調査で分かった事実は、確信度だけでなく元の見積もりへ反映します。保存の対象が40社ではなく20社だったならReachを直します。工数が2人月になるならEffortを直します。数値の誤りを残したまま、Confidenceだけで調整しないでください。
同じ不安を何度も割り引くことにも注意します。たとえば利用頻度が低いと判明してImpactを下げたあと、同じ事実だけを理由にConfidenceも機械的に下げると、評価の意図が分からなくなります。効果の見積もりと、その見積もりを支える根拠の強さを分けて記録します。
順位が入れ替わる条件の確かめ方は、RICEスコアの使い方と限界でも扱っています。
よくある質問
Reach・Impact・Effortを別々に採点して掛け合わせますか?
原典は、推定全体に対してConfidenceを1つ置く形です。根拠を3項目に分けて確認することと、3つの確率を掛けることは別です。独自に計算方法を変える場合は、原典とは異なる運用だと明記してください。
顧客の要望が強ければ確信度を上げますか?
要望の強さは、課題の重要性を知る材料になります。ただし、対象数や実現方法の効果、総工数まで裏付けるものではありません。どの見積もりへの根拠なのかを確かめます。
一度決めた確信度は、いつ見直しますか?
対象顧客、仕様、工数の前提が変わったときや、新しい検証結果が出たときに見直します。確認日と参照資料を残し、古い記録を現在の条件へそのまま当てはめないようにします。
まとめ
RICEの確信度は、自信の強さより、見積もりを支える根拠から決めます。原典の尺度と自社の運用基準を分け、未確認事項・確認担当・見直す時点を記録してください。根拠が薄い案でも、次に調べることが明確になれば検討を進められます。
要望の原文や判断の背景を整理する運用を考えている方は、アーコレのサービス紹介も参考にしてください。