バックログとは? 要望リスト・開発タスクとの違い
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開発や製品改善の場面で、バックログは、今後取り組む内容を整理しておく一覧を指して使われる言葉です。ただし、一覧に入っただけで、すべての実装や提供日が決まったわけではありません。意味を確かめるには、どのバックログの話なのか、今どの段階なのかを見る必要があります。
開発担当から「その要望はバックログに入れました」と聞くと、すでに作業が始まるように感じるかもしれません。この記事では、要望リストや開発タスクとの違いを、最初に知っておきたい範囲に絞って説明します。
- 要望の記録、改善項目、具体的な作業を区別します。
- バックログへの登録だけで、実装や提供日が決まったとは考えません。
- Scrumの用語として使う場合は、プロダクトとスプリントのバックログを分けます。
「集まった声」と「取り組む内容」を分けて考える
顧客の要望は、改善を考えるための大切な情報です。一方、受け取った言葉をそのまま作業にできるとは限りません。困る場面を確かめたり、似た要望をまとめたり、別の解決方法を考えたりする必要があります。
以下は、記録の役割を区別するための整理です。会社によって呼び方や使うツールは異なります。
| 記録 | 主に残したいこと | その記録だけでは決まらないこと |
|---|---|---|
| 要望リスト | 誰からどんな声が届き、何に困っているか | 採用する解決方法や実装日 |
| 改善のバックログ | 改善に向けて検討・実行する項目と、その順番 | 全項目の実施や提供日の確約 |
| 開発タスク | 具体的に行う作業と、確認する範囲 | その作業を選んだ背景や事業上の優先順位 |
必ず別々の表を作るという意味ではありません。一つのツールにまとめる場合でも、「元の声」「改善する項目」「具体的な作業」が区別でき、つながりをたどれることが大切です。
一つの要望から、複数の作業が生まれることもある
ここからは、架空の申請管理サービスの例です。実在する企業やアーコレ!の運用を示すものではありません。
顧客から「申請一覧に検索を付けてほしい」という声が届いたとします。確認すると、毎朝、自分が承認する申請を一覧から探すことに困っていました。
この場合、元の要望には「検索を付けてほしい」という言葉を残します。改善項目は、例えば「承認する申請を見つけやすくする」と整理できます。検索機能にするか、担当者で絞り込む方法にするかは、利用場面や実現方法を調べて判断します。
| 記録する段階 | この架空例での内容 |
|---|---|
| 元の声 | 申請一覧に検索を付けてほしい |
| 確認できた困りごと | 毎朝、自分が承認する申請を探している |
| 改善項目の案 | 承認する申請を見つけやすくする |
| 方法を決めた後の作業例 | 絞り込みの表示を作る、表示条件を確認する、操作をテストする |
これは一つの進め方であり、すべてのチームが同じ順に記録するルールではありません。複数の顧客の声が一つの改善項目につながる場合も、一つの改善項目を複数の作業へ分ける場合もあります。
具体的な作業と完了条件を書く段階では、改善要望を開発チケットにする方法を参照できます。要望が届いた段階と、開発の準備ができた段階を混同しないことが出発点です。

Scrumでは、2つのバックログを区別する
Scrum(スクラム)は、チームが価値を生み出すために、短い期間で成果を確かめ、進め方を調整するフレームワークです。Scrumで使うバックログには、固有の定義があります。一般に使われる「作業候補の一覧」と同じ意味だと決めつけないようにします。
Scrum Guide 2020のプロダクトバックログの説明では、製品の改善に必要なものを順序付け、学んだことに応じて変えていく一覧として定義しています。顧客が依頼した機能だけを並べるものではありません。
もう一つのスプリントバックログは、短い開発期間である「スプリント」の目標、その期間に選んだ項目、実行するための計画を含みます。単にプロダクトバックログの上から数件を抜き出した一覧ではありません。詳しい定義は、同ガイドのスプリントバックログの節で確認できます。
Scrumでは、プロダクトオーナーがプロダクトバックログの効果的な管理に責任を持ち、スプリントバックログは開発者が作る計画です。スクラムチームは、項目を小さくし、説明や順番などを詳しくする「リファインメント」を継続的に行います。これらはScrumの定義であり、どの会社のどの一覧にも、そのまま同じ役割名が必要という意味ではありません。
「入れた」だけで終えず、今の状態を確かめる
バックログに入った要望について、顧客へどう答えるか迷ったら、開発担当や判断を担う人へ次の点を確認します。
- 元の要望と、改善項目を結び付けて記録していますか。
- 今は背景を調べている段階ですか、それとも実施に向けて具体化していますか。
- 誰が次の判断をし、その前に何を確かめますか。
- 顧客へ伝えられることと、まだ決まっていないことは何ですか。
例えば「検討対象として記録しました。対象の業務と影響を確認してから、対応を判断します」と伝える場合、記録済みであることと、未決定であることを分けられます。これは説明用の文例です。実際には、社内で確認した状態と連絡方針に合わせます。
順番を決める考え方は、開発する機能の優先順位を決める方法で説明しています。点数や登録順だけを見て「次に必ず作る」と約束することは避けましょう。
最初の一歩は、一覧の意味を一つ確かめること
まず、自分のチームで使っているバックログを一つ開き、「何を載せる一覧か」を管理する人に聞いてみてください。そのうえで、気になる項目一つについて、元の要望、現在の状態、次に確認する人をたどります。
古い項目を残すか迷う場合も、登録されていることだけで必要だとは決まりません。いまも困りごとがあるか、条件が変わっていないかを確認します。見直し方は、たまった古い要望の扱い方が参考になります。
まとめ
バックログは、今後の取り組みを整理するための一覧です。受け取った要望、改善項目、具体的な作業は役割が異なり、必ずしも一対一にはなりません。まずは自社での言葉の意味と項目の状態を確かめ、一覧への登録を実装の確約と取り違えないようにしましょう。