資料ダウンロード
記事をテーマ・カテゴリで探す

解約理由をサービス改善につなげるには?

公開 2026-10-21更新 2026-10-21読了 約6分執筆:アーコレ運営|株式会社Covvy CEO 古沢
解約理由をサービス改善につなげるには?
目次

解約理由に「料金が高い」と書かれていた。だから値下げすればよいのかというと、その一言だけでは判断できません。予算が変わったのか、使う機会がなかったのか、期待した仕事を終えられなかったのかで、考える改善は変わります。

この記事では、解約理由を利用中の出来事と照らし合わせ、次に確かめる改善候補へまとめる方法を紹介します。解約を引き止める話術や、解約率の計算ではなく、理由の読み方と改善への渡し方を扱います。

この記事の要点
  • 解約理由の選択肢を、原因が確定した記録として扱わない
  • 利用目的、困った場面、解約を決めた経緯をつなげて読む
  • 分からない理由も残し、改善案と効果の確認方法を決める

「解約した」と「理由が分かった」を分ける

最初に、どの状態を振り返るかを決めます。解約を申し込んだ段階と、契約期間が終わった段階は同じではありません。一時停止やプラン変更も混ぜず、対象期間と集計の単位をそろえます。

また、利用者が解約を選んだ場合と、支払いの失敗に伴う契約終了を分けて確認します。Stripeの決済回復に関する公式資料でも、支払い失敗による意図しない離脱を扱っています。契約が終了したという事実だけで、サービスへの不満が原因だとは言えません。

理由を取得できたかどうかも、契約状態とは別の情報です。回答がない場合は「理由不明」と残し、「不満がなかった」「価格の問題だろう」などと埋めないようにします。

分析対象を決めたら、解約した契約の一覧と、理由を確認できた契約の一覧を見比べます。回答のある人だけを読んでいることが分かる状態にしておくと、全体の傾向と言い切るのを避けられます。

選択肢の回答を、調べる入口にする

解約フォームの選択肢は、理由を一覧にする入口として使えます。Stripeの解約理由収集の説明にも、料金、機能、代替サービス、利用の必要性などの選択肢と、その他の自由記述が示されています。

ただし、選択肢は短い言葉にまとめられています。「機能が足りない」という回答だけでは、何をしようとしていたか、代わりの方法を試したか、その機能が解約の決め手だったかまでは分かりません。

本記事では、一件ごとに次の情報をつなげて読む方法をおすすめします。すべて聞き直すのではなく、すでにある記録から確認できる部分を先に埋めます。

  • 利用の目的:何の仕事や課題のために導入したか。
  • 利用中の出来事:どの作業で困り、どう対処していたか。
  • 解約の経緯:いつ見直し始め、何をきっかけに決めたか。
  • 解約後の選択:別サービス、手作業、業務自体の終了など、分かる範囲の状況。
  • 情報の出どころ:本人の回答、問い合わせ記録、担当者の推測のどれか。

社内向けの共有では、検討に不要な氏名や個人情報を広げず、必要な人だけが元の記録を確認できるようにします。改善の論点と、個別の契約手続きも分けて扱ってください。

最初の目的、利用の経緯、解約前の状態を順に確かめる図
短い解約理由から、実際に起きた出来事へ掘り下げます。

追加で聞くなら、実際の出来事を尋ねる

追加の確認は、相手が応じられる場合に、目的と負担を伝えて行います。解約手続きを進めることと、調査に協力してもらうことを混ぜず、答えたくない項目は飛ばせる形にします。

「安ければ続けましたか」だけでは、実際に起きたことが見えません。先に、解約を考え始めた場面や、最後に使おうとした仕事を尋ねます。

  • 「利用を見直し始めたのは、どのようなことがあったときですか」
  • 「最後にこのサービスで終えようとした作業を教えていただけますか」
  • 「その作業で困ったあと、どのように対応しましたか」
  • 「最終的に利用をやめる判断をしたとき、重視したことは何でしたか」

GOV.UKのインタビューのガイドも、中立的な質問を使い、一般論より実際の出来事を聞くことを勧めています。基本的な聞き方はユーザーインタビューの記事で確認できます。ここでは、解約までの順序が分かるように記録するのがポイントです。

値下げや新機能の提案を途中で始めると、何が起きたかを聞く時間と、今後の条件を相談する時間が混ざります。改善調査として聞いた内容と、その後の営業上の相談は記録も分けます。

架空例で「料金が高い」の背景を整理する

以下は、架空の案件管理サービスを使った説明用の例です。実際の顧客事例や、解約防止の実績ではありません。

ある契約の解約理由は「料金が高い」でした。利用目的と経緯を確認すると、担当者は案件の集計資料を作るために導入していました。しかし、必要な区分で集計する手順が分からず、表計算ソフトでの作業を続けていたと回答しました。その後、予算の見直しがあり、契約を終了したとのことでした。

この記録は、次のように整理できます。

項目説明用の記入例
回答された理由料金が高い
利用中の困りごと必要な区分での集計手順が分からなかった
続けていた代替作業表計算ソフトで集計資料を作成
解約を決めたきっかけ予算の見直し。本人の回答による
未確認点既存機能で目的を達成できたか、案内を受けたことがあるか
次に確かめること同じ用途の利用者が、必要な集計を完了できるか

「集計機能を作れば解約しなかった」とはまだ言えません。使い方の案内で対応できた可能性も、料金や予算の制約が残った可能性もあります。ここから選ぶのは、解約を取り戻せるという約束ではなく、確認する課題です。

まず既存機能と案内を確認し、同じ用途の利用者がつまずくかを調べます。その結果に応じて、案内の改善、導入時の支援、機能の検討へ進めます。

似た理由を比べ、変えられることを選ぶ

複数の記録を読むときは、同じ選択肢を選んだ人を一括りにせず、利用期間や目的も見ます。導入直後に作業を始められなかった人と、長く使った後で対象業務がなくなった人では、改善の候補が違います。

件数を示すなら、対象期間、解約した契約数、理由を確認できた契約数を添えます。一つの契約に複数の理由を付けた場合は、その数え方も示してください。少数の回答だけで、顧客全体の主な解約原因を確定しないようにします。

改善候補は、画面や機能に限りません。初期設定の支援、料金の説明、問い合わせへの対応など、自分たちで見直せることを選びます。一方、顧客の事業終了など、サービスを変えても対応できない事情は別に残します。

一件の具体的な困りごとには調べる価値がありますが、それだけで最優先の開発案件にはなりません。対象となる顧客、困る程度、他の記録との共通点をそろえて判断します。

改善後は、解約率だけで判断しない

改善を試す前に、何が変われば前進と考えるかを決めます。架空例なら「目的の集計を自分で終えられるか」が、解約率より先に確かめられる項目です。

その後、対象となる利用者の継続状況も追えます。ただし、料金や契約条件、顧客の構成が同時に変われば、数字の変化を一つの改善だけの効果とは言えません。まず困りごとが解消したかを確認し、長期の変化はほかの条件と一緒に読みます。

記録には、改善候補、担当者、確認日、確認できた結果を残します。効果を確かめる流れは、機能改善の効果を確かめる方法も参考にしてください。

よくある質問

Q

解約理由を聞いても回答がありません。どうすればよいですか?

A

理由不明のまま残し、すでにある問い合わせや利用記録から確認できる事実だけを整理します。利用が少なかったことなどから、本人の理由を決めつけないでください。回答は無理に求めず、質問の数や負担も見直します。

Q

『高い』という回答が多ければ値下げすべきですか?

A

すぐには決められません。予算、利用頻度、期待した仕事を終えられたかなどを確認します。価格変更は選択肢の一つですが、案内や支援、機能の改善が合う場合もあり、利益や他の契約への影響も含めて判断します。

まとめ

選んだ改善候補を今後の計画へつなげるときは、プロダクトロードマップの作り方も参考になります。

解約理由は、利用目的と、解約までに起きた出来事を合わせて読むと、次に調べる課題が見えてきます。分からない点を残し、変えられることから小さく試してください。

少数の記録は表でも扱えます。解約時の声に加えて日々の要望も増え、似た困りごとを探す負担が大きくなったら、改善候補をまとめる方法を見直せます。

アーコレ!は、集まった要望を整理し、改善の検討につなげるためのサービスです。解約の原因や効果を自動で確定するものではなく、チームが判断する前の情報整理にどう使えるかを確認できます。

アーコレでどう整理できるかを見る

要望管理を仕組みにするなら、アーコレ!

解約時の声と日々の要望を、検討材料として整理したい方へ。