使われていない機能は、どう見直す?
目次
以前からある機能なのに、利用履歴を見るとほとんど使われていない。「もっと目立たせるべきか、それとも削除するべきか」と迷ったら、まず誰に必要な機能で、どんな利用を数えているかを確かめます。
利用が少ない理由は、必要な場面が少ない、存在を知られていない、使おうとして途中で止まっているなど、いくつか考えられます。この記事では、長く提供している機能を対象に、使われていない理由を調べ、残す・直す・整理する判断につなげる方法を説明します。
- 利用数の前に、対象者・利用機会・計測方法を確かめる
- 知らない、使えない、必要がないを分けて調べる
- 利用中の人への影響を確認してから、改善や廃止を検討する
「使われていない」の数え方を確認する
利用回数が少ないだけで、その機能の価値が低いとは決められません。毎日使う検索と、年度末に使う出力では、必要になる頻度が違います。管理者だけが使う設定を、全利用者を分母にして見ると、利用が少なく見えることもあります。
最初に、次の三つを書いてください。
- 対象者:その機能を必要とする役割や、利用できるプラン・権限。
- 利用機会:毎日の作業か、月末や特定の手続きでだけ必要か。
- 利用の定義:画面を開くことか、保存・出力などの作業を完了することか。
Googleの研究者によるユーザー体験の計測に関する論文は、製品の目標から測る内容へ落とし込む考え方を示しています。今回も、「クリックを増やす」より先に、その機能で誰のどんな作業を支えたいかを確認します。
ログがある場合は、対象の操作が正しく記録されているかも確かめます。別の入口から実行できる操作や、設定後に自動で動く処理は、画面の閲覧数だけでは利用実態が分かりません。計測漏れや仕様変更を、顧客の不利用と取り違えないようにします。
長く使われていない機能を一つ選ぶ
最初から全機能を棚卸しするより、見直す理由のある機能を一つ選ぶと調べやすくなります。問い合わせ対応の負担が続いている、画面を複雑にしている、保守に手間がかかるなど、今回検討するきっかけを書きます。
次に、その機能を作った当初の目的を確認します。元の要望や仕様書があれば参照し、「今も同じ利用者が、同じ仕事で必要としているか」を考えます。過去に要望があったことは手がかりですが、現在の必要性を確かめる代わりにはなりません。
利用期間も、仕事の周期に合わせます。月末だけ使う機能を月初の数日だけ見ても、判断できません。一方で、長い期間をまとめすぎると、直近で使い方が変わったことを見落とします。対象期間と、その間の仕様・顧客構成の変化を記録してください。

理由を四つに分けて確かめる
以下は、調査の入口として使える本記事の整理例です。一人の利用者に複数の理由が重なる場合もあります。分類を埋めることより、次に何を確認するかを明確にするために使います。
そもそも必要になる場面が少ない
年に一度の点検や、まれに発生するトラブル対応の機能は、日々の利用数が少なくても役割を持っている可能性があります。必要な場面に遭遇した人が使えたか、使えないと何が起きるかを確かめます。
「直近に使っていない人」を全員、改善対象にする必要はありません。対象の仕事をしていない人や、まだ利用機会が来ていない人を区別してください。
必要だが、存在や入口を知らない
機能が役立つ場面を迎えているのに、別の方法で対応している場合です。「この機能を知っていますか」だけでなく、実際に何をしているか、その方法をどこで知ったかを聞きます。
入口を目立たせる案は、この理由を確かめてから検討します。関係のない利用者にも表示を増やすと、別の作業を邪魔する可能性があります。必要になる場面で案内できるかを考えます。
使おうとしたが、完了できない
画面は開いていても、必要なデータや権限がない、入力の意味が分からない、エラーから戻れないといった事情が考えられます。最後に試したとき、どの操作まで進み、次に何をしたかをたどります。
利用履歴だけで原因を決めず、問い合わせや本人の説明、操作の観察を合わせます。具体的な聞き方はユーザーインタビューの進め方を参照できます。
目的に合わず、別の方法を選んでいる
機能を理解したうえで使わない人もいます。必要な情報が足りない、社内で決まった形式に合わない、別のツールで同時に作業を終えられるなど、理由を確かめます。
この場合、案内を増やすだけでは解決しないかもしれません。自社で改善する範囲か、別の方法との併用でよいか、そもそも対象の仕事を支え続けるかを検討します。
架空の集計機能で、調べる相手を選ぶ
架空の案件管理サービスに、長く利用が少ない「月次集計」があるとします。以下の状況と判断は説明用で、アーコレ!の機能や実際の調査結果ではありません。
担当者は、全利用者に対する月次集計の利用割合を見て、削除を考えました。しかし、この集計を担当するのは各社の管理者だけです。日々案件を入力するメンバーは、使う必要がありません。
そこで、対象を「月次報告を担当する管理者」に絞り、次の相手を分けて調べます。
- 今も使っている人:どの報告に使い、なくなると何に困るか。
- 以前は使い、今は使わない人:最後に使ったあと、仕事や方法がどう変わったか。
- 必要な仕事はあるが、使ったことがない人:現在の方法と、この機能を知っていたか。
この架空例で、ある管理者が「部署別の並び順が合わず、表計算で作り直している」と答えたとしても、すぐに並び替え機能の開発を決めません。同じ支障を持つ対象者がいるか、既存の出力方法で対応できるかを確認します。
利用中の人の話も、全体を代表するとは限りません。誰に聞けていて、誰にはまだ聞けていないかを残すと、「使わない人の理由」を利用者の声だけで推測せずに済みます。
残す、直す、統合する、廃止するを比べる
調べた理由に合わせて、対応候補を選びます。使用率を上げることだけを目的にすると、不要な案内や機能追加につながりかねません。
- 残す:利用機会は少ないが、必要な仕事を支えている。
- 案内を直す:対象者が存在や入口を知らず、必要な場面で届いていない。
- 機能を直す:目的は合っているが、具体的な支障で完了できない。
- 統合する:別の既存機能で同じ仕事を支えられ、移行の見通しがある。
- 廃止を検討する:現在の対象者に必要な役割が乏しく、維持の負担や影響を比較できる。
廃止する場合は、少数でも使っている人への影響を調べます。保存済みのデータ、外部との連携、契約や案内済みの内容、代わりの手順、移行に必要な期間を確認してください。メニューから消すだけでは、見直しが終わったことにはなりません。
不明な点が大きいなら、結論を「要確認」にして、誰に何を聞けば判断できるかを決めます。調べたあとに改善を行う場合、その変更の評価は機能改善の効果を確かめる方法で扱っています。
よくある質問
利用率が何%以下なら削除してよいですか?
すべての機能に共通する基準はありません。対象者、利用機会、使えないときの影響、維持の負担を合わせて判断します。まれな場面で重要な役割を持つ機能を、日常的な機能と同じ基準で比べないようにします。
利用ログがなくても見直せますか?
問い合わせ、元の要望、利用者への確認から始められます。ただし、聞けた範囲と製品全体の利用実態は区別してください。必要なら、今回の判断に足りない操作の記録を開発担当と検討します。
まとめ
機能の見直しを今後の計画へ反映するときは、プロダクトロードマップの作り方も参考になります。
使われていない機能は、対象者・利用機会・計測方法を確かめてから理由を調べます。案内不足、操作上の支障、目的との不一致を分け、利用中の人への影響も含めて見直してください。
少数の確認ならメモで進められますが、昔の要望と現在の困りごとが別々に残ると、何のために作った機能かをたどる手間が増えます。アーコレ!では、集めた声を整理する仕組みを紹介しています。利用ログの計測とは分けて、見直しに使う要望をまとめたい方は、サービス紹介をご覧ください。