顧客インタビューの質問票テンプレート|回答に合わせる質問の分岐
目次
顧客インタビューの質問票には、何を確かめるための質問なのかと、答えに応じた次の問いをセットで残します。質問を全部読み上げることより、相手が実際に経験した場面を聞ける設計にすることが大切です。
この記事では、質問票を作るための空欄テンプレートと記入例を紹介します。時間配分や当日の進行は、ユーザーインタビューの進め方を参照してください。ここでは、面談前に用意する質問の設計に絞ります。
- 調査で決めたいことから、最初の質問を作ります。
- 答えが具体的・曖昧・経験なしの場合の分岐を用意します。
- 別の人と試し、誘導や答えにくい質問を直します。
質問の前に、調査で決めたいことを書く
「使いやすいですか」「何が欲しいですか」から始めると、答えを集めても何を判断するかが曖昧になりがちです。まず、調査を終えた後に選びたい行動を書きます。
たとえば「初回設定の説明を直すか、画面の試作をするかを考える」なら、知りたいのは設定時に迷った場所と、そのとき足りなかった情報です。「新しいヘルプを追加すればよいですよね」と、解決案への賛成を求める質問とは分けます。
GOV.UKのインタビューガイドは、調査で答えたい問いを確認してから、話題ごとの最初の質問と追加質問を用意し、同僚との試行で見直す進め方を示しています。以下の表は、この考え方を参考にした本記事の作成例です。公式の標準様式ではありません。
コピーして使える質問票の空欄テンプレート
最初の表は質問票全体の設定、次の表は一つの話題ごとに複製する欄です。角括弧の中には自分の調査に合わせた内容を入れてください。
| 設定項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 調査で決めたいこと | [調査後に選びたい行動] |
| 話を聞く対象と経験 | [どの作業を、いつ経験した人か] |
| 今回確かめたいこと | [分かれば判断が進むこと] |
| 既存の記録で分かっていること | [問い合わせ・過去の調査など] |
| 優先して聞く話題 | [必ず確かめるものを先に並べる] |
| 参加者に伝えること | [目的・用途・共有範囲・記録方法・参加と録音等への同意の確認] |
| 一つの話題の設計 | 記入欄 |
|---|---|
| 話題 | [例:初めて設定した場面] |
| この話題で確かめること | [どの情報が足りなかったか] |
| 最初の質問 | [相手の経験を尋ねる一問] |
| 詳しい出来事が出た場合 | [手順や条件を確かめる追加質問] |
| 抽象的な答えの場合 | [直近の一回へ戻る追加質問] |
| 経験していない・覚えていない場合 | [飛ばす内容と、別に聞ける経験] |
| 記録すること | [発言・場面・未確認点など] |
実施前には、目的・用途・記録方法などを説明し、参加や録音等について本人の同意を確認します。録音を使わない場合の記録方法も、あらかじめ相談しておきます。
「経験がない」という答えも記録できます。想像で答えてもらい、その答えを実際の体験と同じ欄に入れないようにします。対象者の条件から決めたい場合は、顧客ニーズ調査の対象者の選び方が参考になります。
記入例:初回設定で迷う場面を知りたい
以下は架空の予約管理ツールを想定した質問票です。発言や状況は説明用で、実在の顧客やアーコレ!の機能・調査結果ではありません。
調査後に決めたいことは「設定の案内文を直す案と、設定画面を試作する案のうち、次に何を確かめるか」です。対象は、最近、自分で初回設定を試した担当者とします。
| 話題 | 最初の質問 | 追加で確かめること |
|---|---|---|
| 設定を始めたきっかけ | 初めて設定したとき、何をできるようにしたかったですか | その作業を必要とした場面と、担当していた役割 |
| 進めた順序 | 最初に開いたところから、覚えている順に教えてもらえますか | 見ていた画面、説明、他の人への相談 |
| 判断に迷った箇所 | 途中で、次に何をするか考えたところはありましたか | どの選択肢で迷い、何を頼りに決めたか |
| 完了・中断した後 | そのあと、どのように作業を続けましたか | 自分で完了した、相談した、後回しにしたなどの経緯 |
すでに話の中で分かった項目は聞き直す必要がありません。「迷った箇所がある」ことを前提にせず、迷わず進められた人には、そのとき役に立った情報を尋ねます。
答えに応じて、次の質問を選ぶ
質問票は、上から一字一句読むための台本ではありません。最初の答えに合わせ、足りない点だけを追加で確かめます。
| 相手の答えの状態 | 次の質問例 | 避けたい扱い |
|---|---|---|
| 「分かりにくかった」とだけ答えた | 直近でそう感じたとき、何を決めようとしていましたか | 原因を「文字が小さい」と決めつける |
| 具体的な操作の順序が出た | その選択肢を選んだとき、どの説明を参考にしましたか | すでに分かった順序を最初から聞き直す |
| 「ヘルプが欲しい」と案を話した | ヘルプで、どの点を確かめられると作業が進みそうですか | その場で作成や実装を約束する |
| 迷わず完了した | 進めるとき、判断に使えた情報は何でしたか | 困りごとが出るまで同じ質問を繰り返す |
| 経験していない・覚えていない | その場面は飛ばします。ご自身で行った別の設定はありますか | 想像の答えを体験談として残す |
追加質問をしても分からない部分は、未確認のまま残せます。画面を見せてもらう場合も、参加者が見せられる範囲に限り、顧客名など不要な情報は隠してもらいます。

当日前に、別の人が質問票を読んで試す
作成者には伝わる質問でも、初めて読む人には意味が取りにくい場合があります。進行役とは別の人に質問票を見てもらい、次の点を確認します。
- 一問に、二つ以上の異なる問いを詰めていないか。
- 「便利ですよね」のように、答えの方向を示していないか。
- 質問と、調査で確かめたいことが結び付いているか。
- 経験していない場合の飛ばし先があるか。
- 記録の用途や共有範囲を、参加者に説明できるか。
同僚との試行は、質問文の分かりやすさを確かめるためです。同僚の答えを、そのまま対象顧客のニーズの証拠にはしません。試行後は質問票の版と変更理由を残しておくと、本番で聞き方が変わった場合も振り返れます。
まずは一つの話題から作る
最初からすべての質問を埋めようとせず、「調査で決めたいこと」と「優先して聞く話題」を一つずつ書いてみてください。その話題について、最初の質問と、答えが具体的な場合・曖昧な場合・経験がない場合の分岐を用意します。
調査の目的や役割分担まで整理したいときは、顧客ニーズ調査の計画書テンプレートにつなげられます。質問票は埋めた数ではなく、必要な問いを相手の経験に合わせて聞けるかで見直しましょう。聞き取った内容を継続的な改善につなぐ流れは、機能要望管理の基本で確認できます。