顧客インタビューとアンケートの違い・選び方
顧客インタビューは、対話しながら出来事の背景を詳しく聞きたいときに向いています。アンケートは、同じ質問への回答を比較しやすい形で集めたいときの選択肢になります。
顧客のことを知りたいからといって、先に方法を決める必要はありません。まだ分からないのが「出来事の詳しい背景」なのか、「同じ問いへの回答の傾向」なのかを考えると、選びやすくなります。
この記事では、対話しながら聞く顧客インタビューと、主にWebフォームなどの質問票へ回答してもらうアンケートを比べます。電話で質問票を読み上げる調査など、両方の特徴を持つ方法もあります。
- 方法より先に、知りたいことを一文にします。
- 背景を詳しく聞くのか、同じ問いで回答を集めるのかを考えます。
- どちらの方法でも、聞いた人の答えを顧客全体へ広げすぎません。
インタビューは、答えに合わせて詳しく聞ける
顧客インタビューでは、相手の答えを受けて「そのあと、どうしましたか」「何を探していたのでしょうか」と質問を続けられます。話の途中で、こちらが想定していなかった事情が見つかることもあります。
たとえば、設定で困ったという人に、そのときの作業を順に聞けば、設定画面だけでなく、事前に必要な情報がそろっていなかったことが分かるかもしれません。
GOV.UKのインタビューガイドも、実際の出来事や具体例に焦点を当て、必要に応じて追加の質問をする考え方を示しています。何が起きているかをまだ十分に説明できないときに、検討しやすい方法です。
ただし、聞いた人の話が詳しく分かっても、それだけで顧客全体に同じことが起きているとは言えません。面談相手の選び方や、聞き手の質問による影響にも気を配ります。
アンケートは、同じ問いで答えを集めやすい
アンケートでは、同じ質問や選択肢を用意し、回答を比較しやすい形で集められます。「設定を終えたか」「どの段階で止まったか」のように、聞く内容が整理できている場面で使えます。
一方、回答の意味が分からなくても、その場ですぐ聞き返せるとは限りません。質問文が曖昧だったり、選びたい答えが選択肢になかったりすると、集計した数字も解釈しにくくなります。
Pew Research Centerの質問作成ガイドは、自由回答か選択式か、質問の言葉や順番によって答えが変わることを説明しています。質問票を作る段階で、意図した意味で答えられるかを確かめることが大切です。
回答が多ければ自動的に正確になるわけでもありません。誰に送ったのか、誰が答えたのかによって、見える傾向が変わります。回答者の集計結果を、そのまま顧客全体の割合として使わないようにします。
方法を選ぶときの比較表
次の表は、調査に初めて取り組む人のための目安です。人数の多さだけではなく、結果を何に使いたいかで比べてください。
| 比べる点 | 顧客インタビュー | アンケート |
|---|---|---|
| 向いている問いの例 | どう進めて、どこで困ったのか | 同じ質問に、どのような回答が集まるか |
| 聞き方 | 答えに合わせて詳しく聞く | 事前に決めた質問を中心に集める |
| 準備で大切なこと | 聞くテーマと相手の選定 | 分かりやすい質問と選択肢、対象者の選定 |
| 結果を読むときの注意 | 詳しい一例を全体へ広げない | 回答者の傾向を顧客全体と同一視しない |
| 調査後に残ること | 広がりを別に確かめる必要がある場合がある | 回答の背景を追加で聞く必要がある場合がある |
インタビューでも利用頻度などの数値を聞けますし、アンケートでも自由記述から理由を知ることができます。「インタビューは言葉だけ、アンケートは数字だけ」と分ける必要はありません。知りたい問いに答えるために、聞き方と記録方法を選びます。

同じ「設定で困る」でも、選ぶ方法は変わる
以下は、架空の予約管理ツールの説明用の例です。実在するサービスの調査結果ではありません。
問い合わせに「通知の設定が分かりにくい」という声が届いているとします。
まだ、何で困っているか分からない場合いきなり「文字が小さい・項目が多い・説明が難しい」という選択肢を作ると、作成者の予想から選んでもらうことになります。まず、設定を試した人に、どの情報を見て、どこで止まったかを聞く方法を検討できます。
困る場面の候補が分かってきた場合複数の記録から「通知先を誰にするか決められない」という場面が見えてきたなら、対象者を決めて、設定の完了状況や止まった段階を質問票で確かめる方法があります。回答結果には、対象・期間・回答数を添えます。
アンケートの答えだけでは理由が分からない場合「設定をやめた」という回答が集まっても、不要になったのか、分からなかったのかは区別できないかもしれません。追加の連絡に同意した人へ話を聞くなど、背景を確かめる方法を選びます。
必ずインタビューから始める、必ず両方行う、と決める必要はありません。手元の問い合わせや過去の調査に答えがあれば、それを読み直すところから始められます。
最初の一歩は「知りたいこと」を一文にする
方法を決める前に、今回の問いを一文で書きます。「顧客のことを知りたい」では広すぎるので、「初めて設定した人が、どの場面で手を止めたか知りたい」のように絞ります。
そのうえで、次の順に確認してみてください。
- 既存の問い合わせや記録で答えが分からないか。
- 出来事を詳しく聞く必要があるのか、同じ質問で回答を集めたいのか。
- 今回の問いに答えられる経験を、誰が持っているか。
詳しい進め方が必要になったら、ユーザーインタビューの進め方や顧客ニーズを調べるアンケートの質問例へ進めます。人数を先に決めるより、調査対象者を選ぶ考え方も確認しておくと、目的に合う相手を考えられます。
まとめ
インタビューは、答えに合わせて出来事を掘り下げる方法です。アンケートは、同じ問いへの回答を比較しやすく集める方法です。どちらにも分かることと限界があります。
まずは知りたいことを一文にし、手元の記録で足りない部分を見つけましょう。声を集めた後の整理・判断までつなぐ全体像は、機能要望管理の基本で確認できます。調査全体の流れは、顧客ニーズを把握する方法で整理しています。