ペルソナとは?顧客理解に使う基本
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ペルソナは、似た行動やニーズを持つ利用者の特徴を、チームで共有しやすい人物像にまとめたものです。細かなプロフィールを想像で埋めることより、何をしたい人で、どんな場面に困っているのかを共有するために使います。
「営業担当者向け」と言っても、外出先で使う人と、社内でまとめて処理する人とでは、必要な使い方が違うかもしれません。肩書きだけでは伝わらない違いを、調査の記録から整理していきます。
この記事では、顧客理解のためのペルソナを説明します。広告配信の対象設定や、架空の人物の物語を作ることとは分けて考えてください。
- 名前や年齢より、目的・行動・制約を見ます。
- 調査で分かったことと、こちらの推測を分けます。
- 人物像に合わない声も消さず、見直す材料にします。
ペルソナは、誰の何を理解するために使うのか
英国政府の利用者ニーズのガイドでは、似た行動やニーズを持つ利用者の特徴を、人物像として共有する方法が紹介されています。ここでも、調査で分かったことを共有するための道具として考えます。
ペルソナを作る目的は、「この機能を使うのは、どんな事情のある人か」をチームで話せるようにすることです。きれいな一枚を完成させること自体が目的ではありません。
たとえば「経費を申請する人」という説明だけでは、どの場面を想定するかが人によって変わります。スマートフォンで領収書を撮影する場面を考える人もいれば、机で複数の明細をまとめる場面を考える人もいます。人物像に行動や制約が書いてあれば、その違いを確かめながら検討できます。
属性の一覧より、目的・行動・制約を見る
年齢や職種が不要というわけではありません。ただし、「その情報が、使い方を考えるうえで何に関係するか」を確認します。役職が同じでも、利用する頻度、使える端末、承認を受ける手順は違うことがあります。
最初は次の三つを、利用者の記録から拾ってみてください。
| 見るところ | 確かめたいこと |
|---|---|
| 目的 | この人は、何を終えたいのか |
| 行動 | いつ、どこで、何をしているのか |
| 制約 | 使える時間・端末・権限などに、どんな条件があるか |
契約する人と日々操作する人が違うサービスでは、まず誰の人物像なのかを決めます。役割の分け方は、顧客とユーザーの違いで確認できます。
架空の経費精算サービスで考える
以下は説明用に作った架空の例です。実在する顧客への調査結果や、アーコレ!の提供機能ではありません。
ある経費精算サービスについて、外出先から都度申請する人と、月末にまとめて申請する人を考えます。どちらも「申請を終えたい」という目的は同じですが、作業する場面が違います。
| 項目 | 外出先から都度申請する人 | 月末にまとめて申請する人 |
|---|---|---|
| 目的 | 領収書をなくす前に申請を済ませたい | 手元の明細を確認して申請をまとめたい |
| 場面・行動 | 移動の合間にスマートフォンで入力 | 社内で領収書と明細を照らし合わせる |
| 制約 | 長い文章を入力しにくい場面がある | 未処理の明細を見分ける必要がある |
| 確認したいこと | 途中で中断したとき、今はどう再開しているか | どの明細を処理済みと判断しているか |

ここからすぐ「写真だけで申請できる機能」「一括登録機能」を作る、と決めるわけではありません。人物像は、解決策を確定する資料ではなく、調べることや案を話し合うときの手がかりです。
同じ役職でも、利用頻度や環境は違う
この二つを「営業職の30代」のような属性だけでまとめると、作業の違いが見えなくなります。反対に、部署が違っても、同じような場面で同じ困りごとを持つ人がいるかもしれません。
また、一人がいつも同じ行動を取るとも限りません。普段は都度申請し、忙しい月にはまとめて処理することも考えられます。「この人は必ずこちら」と固定するより、人物像がどの利用場面を説明しているかを添えておくと、読み違いを減らせます。
人物像に合わない声も残す
ペルソナは、利用者全員を代表する答えではありません。まとめた人物像に合わない発言が出たときは、「対象外だから」と片づけず、別の事情があるのかを確認します。
たとえば「スマートフォンで申請する」という人物像があっても、仕事用の端末では写真を保存できない人がいるかもしれません。その違いが利用を妨げるなら、人数が少なそうに見えても、調べる意味があります。
新しい記録を見つけたら、既存の人物像に追記できるか、場面を分けたほうがよいかを考えます。まだ一件しか確認していない特徴は、その範囲が分かるように残してください。何人に当てはまるか分からないものを、代表的な特徴や割合として扱わないことが大切です。
最初は、分かったことと未確認を分ける
最初から人物像を完成させる必要はありません。まずは手元のインタビューや問い合わせの記録を一つ選び、以下の欄を埋めてみてください。この表は、本記事で提案する整理用のひな形です。
| 項目 | 記入すること | 自分の記入欄 |
|---|---|---|
| 目的 | 本人が達成したいこと | [記入] |
| 場面・行動 | いつ、どこで、何をしていたか | [記入] |
| 制約 | 作業に関係する条件 | [記入] |
| 根拠の記録 | 発言・観察・参照先と確認日 | [記入] |
| 未確認 | 推測していること、追加で聞きたいこと | [記入] |
一つの記録を整理しただけなら、「人物像の材料」として扱います。ほかの記録と比べ、共通する点と違う点を確認してから、共有用の人物像へまとめていきます。
架空例として、根拠の欄は「申請中に別の仕事へ戻ったことを聞いた記録」、未確認の欄は「再開するときに何を確認するか」のように分けます。ここでも、実際に得た記録へ置き換えて使ってください。
根拠欄には、「外出が多いはず」といった想像ではなく、どの記録から分かったのかを書きます。分からない欄は「未確認」で構いません。名前や趣味など、判断に使わない情報を埋めるために創作する必要はありません。共有する人物像に個人を特定する情報を載せすぎず、元の記録は閲覧できる人の範囲も確認して扱います。
追加で誰に話を聞くかを考えるときは、顧客ニーズ調査の対象者の選び方へ進めます。根拠そのものが足りないときは、顧客ニーズ調査の基本から集め方を確認してください。
まとめ
ペルソナは、利用者の目的や行動をチームで共有するための人物像です。プロフィールの詳しさより、「何が分かっていて、何がまだ分からないか」をたどれることが大切です。
まず一つの記録から、目的・場面・制約と、その根拠を書いてみましょう。利用者像と実際に届く声を行き来しながら整理する全体像は、機能要望管理の基本でも確認できます。
参考資料
- GOV.UK:Learning about users and their needs — 類似する行動やニーズを人物像として共有する考え方、調査の根拠を重視する姿勢を参照。英国政府向けの運用規則を、すべての組織の必須ルールとして示すものではありません。